ドラムンベースがいつ誕生したのかについては諸説(※)ありますが、ここでは1995年頃LTJブケムらがジャングルとの差別化のためドラムンベースと呼ぶようになったという説を基準にします。(※もともとはUKのRadio1でソウルやファンク系の番組内で使用されていたフレーズであるとか、1993年のコンピレーション「The Dark Side – Hardcore Drum & Bass Style」に用語が使われているなど)

今回のおすすめの傾向としては、上品でコズミックなアートコア、ジャズ&ソウルなリキッドファンク、近未来的なダーク/テック系、Neuro/Sci-Fi、ニューエレクトロやプログレッシブ寄り。キャッチーなものが多めです。

なおドラムンベースの歴史は個人的にはこんな印象

  • 1994〜2000 美しいインテリジェンス系とノイジーなインダストリアル系の2極化
  • 2001〜2010 リキッドファンクの隆盛と、他ジャンルとの融合
  • 2011〜2013 EDMの影響か、より分厚くキャッチーな音色、より極端な曲展開

1994

4 hero ‎– Parallel Universe

それまでの野性味溢れるラガ要素が特徴的なジャングルのカウンタースタイルとして、よりモダンで美しくインテリジェンスな曲調。美しいパッドの音色とバリエーション豊かなリズムパターン。

ピックアップ – Parallel Universe


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1995

Goldie ‎– Timeless

Goldieのデビューアルバム。こちらもモダンで美しくインテリジェンスな曲調。

ピックアップ A Sense Of Rage


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1996

LTJ Bukem ‎– Logical Progression Level 1

まさに宇宙な、上品で繊細なアトモスフェリックドラムンベース。ジャングルの代名詞的なアーメンブレイク(これの1:26〜)を使いつつもインテリジェンスな楽曲に仕上がっている。

ピックアップ PHD & Funky Technicians – Above & Beyond

↓MCなしのInstrumental版とMC入りのVocal版が入ってます

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1997

Squarepusher – Hard Normal Daddy

ジャズ〜エレクトロニカが融合した前衛的な唯一無二なスタイルで、当時の主流どころ(※)とは別枠扱いだった。(※Andy C、4hero、グルーヴライダー、ゴールディー、オムニトリオ、ロニサイズ、LTJブケムなど)

ピックアップ Coopers World


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1998

4 Hero – Two Pages

生ドラムやピアノ、ストリングス、女性ヴォーカルにコーラスといった、優しいジャズ&ソウルスタイル。
ドラムンベース的なエレクトロニックジャズといったほうがいいかもしれない。

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1999

Blame – Two Revolutions

近未来感100%、上品でスペーシーなBlameによるDJ MIX。
Odyssey、Future Engineers、Indica、Pariah、Total Science、Blu Mar Tenなど収録。

ピックアップ Future Engineers – Organism

med_720LP001CD
全曲試聴 > https://www.goodlookingstore.com/cd/720lp001cd
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2000

Roni Size, Reprazent – In The Mode

ピックアップ Lucky Pressure


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2001

V.A. – Progression Sessions 6 – America Live 2001 – LTJ Bukem feat. MC Conrad

LTJ Bukemの上品でジャジーなドラムンベースDJにConradのMCが絡む、ライブスタイルのMIXアルバム。
このころはこのProgression SessionsシリーズやLooking Backシリーズ、Points In Timeシリーズなど、Good Looking Recordsから怒濤のようにアルバムがリリースされていた。

ピックアップ Nookie – Continental Drift

全曲試聴可(YouTube – Good Looking公式

↓MCなしのInstrumental版とMC入りのVocal版が入ってます

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2002

High Contrast – True Colours

軽やかで流れるようなスタイル。爽やかな曲調。ストリングスや管楽器などの生音と、エレクトロニックなベースやリズムが絡む。High Contrastのデビューアルバム。

ピックアップ Return of Forever


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2003

Makoto – Human Elements

暖かみのあるジャズ、ソウル、ファンクな生音ドラムンベース。ハウスやトリップホップなどもあり幅広い。夏の海岸線ドライブに合うかも。

ピックアップ Time (feat. Cleveland Watkiss)


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2004

John B – In:Transit

ニューエレクトロやトランスなどを取り入れた、タイトでモダンなドラムンベース。
この辺りからブレイクビーツやジャズといった「生音」抜きの、デジタルなキックとスネアをタイトに鳴らすシンプルな打ち込みスタイルが目立つようになってきたように思う。

ピックアップ Mercury Skies


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2005

London Elektricity – Power Ballad

爽やかで軽快なジャズ&ソウル系ドラムンベース。なおこの時期はバンドスタイルで人力ドラムンベース

ピックアップ Remember The Future


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2006

Pendulum – Hold Your Colour

ロック系。基本パワフルでキャッチーだが、ヒップホップやブレイクスなどもあり曲調が幅広い。

ピックアップ Sounds Of Life


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2007

V.A. – Weapons Of Mass Creation 3

これだけキャッチーでポジティブな曲がそろったHospitalコンピレーションは他にないんじゃないかと思う。Hospitalコンピの中では個人的に一番好きなアルバム。Hard-Fi、Sonic、Apex、Blame + The Pedge、Cyantific、London Elektricity、Syncopix + Tomahawk、CLS、A Sides、L.A.O.S、Danny Byrd、Bungle & Index、Blu Mar Tenが参加。

ピックアップ Blu Mar Ten – Starting Over 極上歌モノ美麗ドラムンベース


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2008

Danny Byrd – Supersized

一貫してキャッチーでファニーでポジティブでアグレッシブ。メリハリの利いた曲展開、ボイスサンプルの細切れカットアップ、丁寧なストリングスのかけあい。レーベル所属8年目にしてリリースされたアルバム。

ピックアップ Gold Rush (feat. Brookes Brothers)


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2009

V.A. – Magnetic Fields

暗闇を疾走するような、ディープでサイバーな近未来感溢れるスタイル。Camino Blue Recordingsからのコンピレーション。

ピックアップ P.B.K. – Microburst (Infuzoria Remix)

2010

Grafix – I Must Say

タイトでモダンなダーク/テック系。リキッドファンクの軽やかで流れるような疾走感もありつつ、サイバーで近未来的な雰囲気。Grafixは今ではHospitalでFred Vと共に活動しているが、これはその契約前にPristine Recordsからソロでリリースしていたアルバム。

ピックアップ Let Go

全曲試聴(Amazon)

2011

V.A. – Summer Slammers 2011

冷涼なシンセサウンドに攻撃的なワブルベースやエレクトロベースが絡むようなダーク/テック系ドラムンベースを多数リリースしている、Futurebound率いるViper Recordingsのコンピレーション。レーベル全体としてはこの2010〜2011年ころからサウンドが一気にタイトでメリハリの効いたものになったように思う。
ShockOne、Camo & Krooked、Matrix & Futurebound、Nero、Smooth、Metrikなどのアーティスト収録。

ピックアップ Smooth – Want It


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2012

L.A.O.S – Finally

軽やかで繊細な切ない女性ヴォーカルものがあるかと思えば、超攻撃的なエレクトロベース全開なものなど、曲調が幅広い。でもとにかく一貫してキャッチー。
ジャケットのパンダはおそらく2007年リリースのPanda Styleからきていると推測。

ピックアップ L.A.O.S – Energize


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2013

V.A. – Galaxy Of Dreams

プログレッシブトランスのような哀愁リキッドサウンドが特徴的な、Liquicityによるコンピレーション。

ピックアップ Feint – Promises


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