Turnado」「WOW Filterbox」「LiveFX – DJ Effects Kit」など、音楽制作やDJパフォーマンスなどに使えそうなiPadエフェクターアプリが増えてきました。

そこで、iPadエフェクターをDAWからプラグイン的に使う設定方法を2回に分けて書いてみます。

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  1. DAWの音をiPadエフェクターに送る+DAWに戻す(デジタルオーディオ送受信)
  2. iPadエフェクター操作をDAWで記録+再生(MIDIオートメーション)

今回の記事ではまず前者を説明します。

 
ソフトや機材は以下を使います。

 

1. 事前準備:DAWから複数デバイス(iPadとマスター出力)に音を出力する

 

普通は1つの出力先しか選べない

DAWからiPadエフェクターへオーディオ出力するためには、当然、DAWの環境設定でオーディオ出力デバイスをiConnectMIDI2+/4+にする必要がありますが、

iConnectMIDI2+/4+を指定してしまうと、オーディオ出力デバイスが1つしか選べないDAW(※)の場合、マスター出力用のオーディオインターフェースがなくなってしまいます。(なおiConnectMIDI2+/4+本体にはマスターアウトのオーディオ端子はありません)

つまり、

  • DAWからiPadエフェクターへ出力、または、
  • DAWからスピーカーへ出力、

のどちらかしか選べない状況です。

※出力デバイスが2つ以上選べるDAWがあるかは分かりませんが、少なくともAbleton Liveの場合は選べません。以下、国内販売代理店「High Resolution – オーディオに関連したご質問」より引用 
http://www.h-resolution.com/ableton/faq_06.html

Q:なぜ、Liveは、メインの出力に他のオーディオインターフェースを使用していると、コンピュータに搭載された内蔵のオーディオ出力を“Cue”に設定できないのでしょうか?
A:残念ながら、現段階では、Liveは異なるドライバで動作するオーディオデバイスを組合わせて使用することはできません。

Ableton Live Q&A

解決法:複数デバイスを仮想1デバイスにする


これを解決するための方法として、Macの場合は、MacOSの「Audio MIDI設定」で「機器セット」という仮想デバイスを作成すると、iConnectMIDI2+/4+とマスター出力用のオーディオインターフェースの両方を、出力デバイスに指定することが可能になります。

Macでの設定方法を表示 +

Macの「機器セット」設定方法

「アプリケーション」>「ユーティリティ」から「Audio MIDI設定」を起動。

左下の「+」から「機器セットを作成」を選択

左のデバイス一覧に、今作った「機器セット」が表示されます。

「機器セット」選択し、右のオーディオ装置一覧から、DAWからの出力に使いたいデバイスを選択します。
(なおこれは入力デバイスもセットにできるので、必要な場合は選択します)

基本的には、ここでチェックを入れる順番によって、DAW上のナンバリングが決まるようなのですが、そうならないこともあり、謎です。
(例:
最初に選択したデバイス>1/2、
2番目に選択したデバイス>3/4、
3番目に選択したデバイス>5/6
(※各デバイス2chの場合))

自分の環境では、デバイスを2つ(iConnectMIDI2+/4+とオーディオインターフェース)だけにしたときはチェックした順番どおりに採番されたので、同様な方は、

  • 最初にiConnectMIDI2+/4+
  • 次に出力先(オーディオインターフェース)

とチェックしてみるのをおすすめします。(採番されなかったらすいません)

なお当然どの順番でチェックしても動くのですが、後々iOSアプリ側の設定を行うときに分かりやすくなります(DAW側とiOSアプリ側で数字が一致するため(「1/2」と「1+2」など))

 

 

2. DAWからオーディオをデジタル出力

DAWでオーディオ出力デバイスを指定

DAW環境設定のオーディオ出力デバイスにて、先ほど作った「機器セット」を選択


Ableton Liveの場合は、出力したいデバイスのチャンネルがアクティブになっているか確認が必要ですが、ここでは機器セット内のデバイス名は表示されないため、どれがどのデバイスかは音を出すまで分かりません。なので全部ONにします。

どのチャンネルがどのデバイスなのか調べる

どのチャンネルがiConnectMIDI2+/4+で
どのチャンネルがマスター出力用デバイスなのか、音を出してチェックします。

DAWで適当なオーディオトラックをループ再生するなどして、マスター出力先チャンネルを色々切り替えます。音が出ればそれがマスター出力デバイス、音が出なければそれがiConnectMIDI2+/4+のはずです。

ちなみに今回の場合、出力デバイスの採番は

  • Ext Out 1/2 が、外部オーディオインターフェース
  • Ext Out 3/4 が、iConnectMIDI2+/4+ (1+2) 
  • Ext Out 5/6 が、iConnectMIDI2+/4+ (3+4) ※
  • Ext Out 7/8 が、内蔵出力

となっていました。(機器セット作成時、iConnectMIDI2+/4+を最初に選択したのですが、1/2からは採番されませんでした)

このナンバリングは機器セットの内容や登録順によって異なってきますので、上記はあくまで例であることに注意してください。また、チェックする際には、最初は機器セット内のデバイス数を最低限に絞ってやるのをおすすめします。

※なぜiConnectMIDI2+/4+が2つあるか、ですが、iConnectMIDI2+/4+の設定を変更してあるためです。初期設定(4チャンネル)で使っている場合は1つしか出ません。2つにする方法は最後に説明します。

DAWからiConnectMIDI2+/4+に音を出力

エフェクターに音を送りたいトラックのオーディオ出力設定欄から、外部出力を選択し、iConnectMIDI2+/4+のチャンネルを選択します。
Ableton Liveの場合は「Audio To」から「Ext Out」を選択し、ここでは3/4に送ることにします。前述のとおり、今回の場合だとiConnectMIDI2+/4+ (1+2) に送られることになります。(Ext Out 5/6を選べば、iConnectMIDI2+/4+ (3+4) に送られます)

ちなみに複数トラックのオーディオをまとめて送る場合は、同じ送信先を指定すればOKです。

iConnectMIDI2+/4+内でのオーディオのルーティング

は設定できないようで、以下で固定のようです。
iConnectMIDI2+/4+ (入力1+2) → iConnectMIDI2+/4+ (出力1+2)  ※初期設定(4チャンネル)の場合はこれのみ
iConnectMIDI2+/4+ (入力3+4) → iConnectMIDI2+/4+ (出力3+4) ※8チャンネルの場合はこれが追加

 

3. iPadエフェクターに音をデジタル入力&出力

iPadエフェクターアプリで音を受信

エフェクターアプリの初期状態だと、iPad内部の音がエフェクターに入ってくる設定になっているかと思います。これを、外部入力(iConnectMIDI2+/4+から)に変更します。

TurnadoやWOW2の場合、歯車アイコンをタップして設定画面に入り、Modeから「External」を選択します。
LiveFXの場合は、左上のマイクと音符ボタンをタップして、「Live」を選択します。

iConnectMIDI2+/4+を初期設定(4チャンネル)で使っている場合は関係ない話ですが、もし設定を変えて8チャンネルにしている場合(※変更方法は最後に説明します)、TurnadoやWOW2であれば、「Inputs / Outputs」で入出力のチャンネル指定することもできます。(下図のようにInputとOutputそれぞれに2項目表示されます)

(なおシンセ系アプリではここまでできません(例えばiMini、Animoog、Thor、iMS-20、Sunrizer、NLogはできません(2014/1/30現在))

iConnectMIDI2+/4+を初期設定(4チャンネル)で使っている場合は「Input 1+2」「Output 1+2」の2項目だけのはずなので、特に設定を変える必要はありません。

今回の設定だと、先ほどのDAWでのトラック設定で、出力にExt Out 3/4を選択しました。これにはiConnectMIDI2+/4+ (1+2) が今回割り当てられているので「Input 1+2」を選択しています。

もし先ほどのDAWでのトラック設定で、出力にExt Out 5/6を選んでいたなら、ここでiConnectMIDI2+/4+ (3+4) を選ぶ必要があります。

なお、Inputの番号とOutputの番号を合わせる必要はありません。(上記ではOutput 1+2ですが、Output 3+4を選んでも問題ありません)

 

4. DAWに音をデジタル入力し、スピーカーへマスター出力

DAWへの音の入力設定

今回の場合、機器セット内での入力デバイス採番は、

  • Ext In 1/2 が、外部オーディオインターフェース
  • Ext In 3/4 が、iConnectMIDI2+/4+ (1+2)
  • Ext In 5/6 が、iConnectMIDI2+/4+ (3+4)

となっていました。  

上での通り、アプリ側で「Output 1+2」を選択しているので、iConnectMIDI2+/4+ (1+2)に音が送られます。なのでDAW側はExt Inの3/4を選択しています。

DAWからのマスター出力設定

前述のとおり、今回の場合は、Ext Outの1/2 が外部オーディオインターフェースだったのでそれを選択。

これで音が出る…はず

 

音が出ない場合(24bitだとだめな場合も)

iConnectMIDI2+/4+の初期設定値は「6 – 44100Hz, 4 Channels, 24bit」ですが、24bitだとアプリ側が対応しておらず音が出ないことがあります。
この場合は16bitに変更してください。

「iConnectivity iConfig.app」を起動して

「Audio Info」>「Audio Configuration」項目を変更します。

 

ついでに8チャンネル化

どうせ16bitにするならチャンネル数2倍の「4 – 44100Hz, 8 Channnels, 16bit」がおすすめです。


44100Hzか48000Hzかはお好きなほうを(iOSアプリによっては48000Hz対応していないものがあるため、無難なのは44100Hzです)

最後に右下の「Commit and Reset」を押して、確定します。
これで16bit化および、8チャンネル化されます。

 
※続きます。次回は「iPadエフェクター操作をDAWで記録+再生(MIDIオートメーション)


関連記事:iPadシンセをDAWから鳴らしてDAWに音声を戻す方法(デジタル音声)


 

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